2009年11月23日月曜日

Internetにより変わる電話のビジネスモデル

今迄iPhoneでSkype(PC間の通話を無料、通常の電話への通話は超低価格で提供するVoIP)を利用する際はWiFi接続時だけと言う制限があったが、AppleとAT&T(iPhoneのキャリア)は3G接続時でもiPhoneでSkype利用が可能になる事を発表。携帯電話のネットワ-クである3GでSkypeの利用を認めると携帯電話のキャリアは通話料が全てSkypeに取られてしなう危険がある為、今迄Skypeの利用はWiFi接続時だけに制限されてきた。但しVoIP対応のGoogle Voiceが発表された時AppleがiPhoneのApp Storeに載せない事を発表した事から、市場から反感を買う事となる。そして消費者の利益を防御するとの観点からFCC(連邦通信委員会)が調査を実施する事となり注目を集める。同時期GoogleのAndroid OSをサポ-トする携帯電話は3GでもSkypeの利用が可能となり、一段とApple・AT&Tに対する風当たりが強くなる。そこで10月にAppleはSkypeとGoogle VoiceをApp Storeで取扱い、3G接続時にもSkypeが利用出来る措置を講じる事を発表。AT&Tは今後Android携帯電話の販売も計画しており、Skypeの利用が高まれば高まる程自社通話サ-ビスの利用が減る可能性が高まってきている。このような状況の中、携帯電話キャリアにとってはビジネスモデルの変革時期になってきているとの見方がされており、今後携帯のキャリア各社がどのような策で対応・ビジネスモデル構築をしていくのかが注目されている。

Cloud storageの拡大と標準化の動き

セキュリティ-ソフトのMcAfeeはストレ-ジ容量が無制限のクラウドデ-タバックアップサ-ビスMcAfee Online Backupを発表。デ-タのバックアップは自動で行われ価格は$60/年となる。サ-ビスは米国で開始され今後イギリス・ドイツ・中国・日本を初めとする27カ国への展開を計画。EMCのクラウドストレージMozyと同等の価格・仕様となるがセキュリティ-の高さと知名度で普及を狙う。一方文書保存業からクラウドストレ-ジへと展開してきたIron MountainはCloud storage APIを発表。これにより他のアプリケ-ションとの接続が可能となり、3rd partyベンダ-製品や企業内で開発・運用されているソフトウエアとの連携が可能となる。このAPI提供はAmazonのクラウドストレ-ジS3と似ており、今後両社共に企業ユ-ザ獲得で争う事となる。一方スタ-トアップのZetta Enterprise Storage CloudはEnterpriseの利用にはバックアップだけでは不十分であるがAPIの利用は開発に時間がかかる事を指摘。そこで通常のファイルシステムCIFS (Common Interface File System)、NFS (Network File System)で容易に企業が連携出来るクラウドストレ-ジサ-ビスを発表。これにより企業が簡単に自社内デ-タセンタ-の運用からZetaのクラウドストレ-ジに移行出来る点を強調している。これらの企業はPublic Cloudの提供となるが、IBMはPrivate CloudとなるSmart Business Storage Cloudでクラウドストレ-ジ市場に参入。タ-ゲットをエンタ-プライズ企業に絞りコンサルティングと合わせたサ-ビスを提供していく事を発表。容量も数ぺタバイトの利用を想定しており、大手企業のストレ-ジニ-ズ全体をCloudで獲得していく事を計画。
上記の通りCloud storageへの参入は拡大しており、各種アプロ-チが行われている事から、SNIA (Storage Networking Industry Association)はCloud storageの定義・仕様等の検討を行うグル-プCloud Storage Initiative (CSI)を発表。Public cloud, Private cloudの両方を対象に今後Cloud Data Management Interface (CDMI)等の標準化活動等を行う事となる。Storageは全てのユ-ザ・PC・携帯端末が対象となる得る為、標準化と共に今後も各社参入・競争激化・価格低下が予測されている。その中で今後各社どのような差別化・価格対応・利便性向上を図っていくか注目される。

本業依存脱皮を検討しているDell

先月のレポ-トでDellがPerot systemsを$3.9Bで買収しサ-ビスビジネス強化を狙っている事を報告したが、IDCが発表した第3四半期のPC出荷台数でDellはAcerに抜かれ3位に転落した事が明らかになる。1位はHPで20.2%のシェアを獲得(昨年度18.9%)、2位がAcerの14%(昨年度11.4%)、Dellは3位となり12.7%(昨年度14.2%)までシェアを落とす事となる。(Acerはネットブック市場での成功がシェア拡大に繋がる事となる。)PCのBTO(Build to Order: 顧客の注文を受けてからメモリ-設置・ソフトインスト-ル等PCの設定を行い出荷するビジネスモデル)で成長したDellは、B2Bビジネスが主流であるが為に現在の不況で大きな影響を受ける事となる。売上不振に伴いDellは2011年までに$4Bのコスト削減を行う目標を設定。その一環として10月North CarolinaにあるDesktop computerの工場閉鎖を発表。今後も工場の売却・閉鎖を行い生産はアウトソ-ス化を進めていく計画となっている。このように本業で苦戦するDellは10月にGoogleのAndroid OSを採用した端末でSmart Phone市場への参入を公表。発売は来年初めとなるがWebのブラウズ・音楽ダウンロ-ド・ゲ-ム等を強化し新たなビジネスの展開を狙っている。又Dellはsalesforce.comと提携し中小企業向けにsalesforce.comのSFA, CRMアプリケ-ションのSIサ-ビスを提供していく事を発表。Dellは社内アプリケ-ションをsalesforce.comと統合した実績があるので、その経験をベ-スにsalesforce.comの顧客にサ-ビスを提供する事となる。
このような動きによりSmart Phoneの利用でPC購入を控えるユ-ザやsalesforce.com (SaaS)の利用でサ-バの購入が不要となるユ-ザが出てくる事も懸念されている。但しDellは現在の状況を打破する為には本業依存から脱皮する事も視野に入れており、今後どのような成果が出るか興味が持たれている。

2009年10月25日日曜日

連続して発表された大型買収案件
DellはITアウトソ-スビジネスのPerot systemsを$3.9Bで買収。Perot systemsは以前大統領候補にもなり嘗てHPが買収したEDSの創設者でもあるRoss Perotが1988年に設立。社員23,000人、売上$2.8BでHealthcare, Government等を中心に25ヶ国にITサ-ビスを展開。昨年はFortune誌のIT service 分野でのMost Admired Companies in Americaの賞を獲得している。Dellはハ-ドウエアビジネス中心できたが、IBMのPricewaterhouse・HPのEDS・OracleのSun買収等が進む中サ-ビスとハ-ドを統合した販売に迫られてきた事が背景となっている。Dellは今後コンサルティングを含むソル-ション販売を強化する事となるが、Perot systemsのコンサルティングはIBM, HPに比べて規模が小さい事からその点を懸念する声も上がっている。
一方AdobeはWebの分析を行うOmnitureを$1.8Bで買収。Webのデザイン・開発・ドキュメント作成を行う主力商品Flash, Dreamweaver, Acrobatで作成されたコンテンツに解析・分析機能を統合する事により、Web開発者に各種情報を提供する事となる。Web解析はWebtrends, Coremetrics等も展開しているがOmnitureのSiteCatalystが業界標準的な存在になっており、現在の$0.6Bから2011年度には$2Bへ拡大する市場でAdobeが有利な立場に立つことになると考えられている。
又Xeroxは$6.4BでBPO大手のAffiliated Computer System (ACS)社を買収。ACSは100ヶ国以上でtelecommunication, retail, finance, healthcare, education, transportationと幅広い業界でサ-ビスを提供しており、World’s Top Diversified(多角) BPO企業と言われている。その中でもガバメントに強く、米国だけでも現在1,700以上の国・州・郡・その他の地方機関で複数年契約のサ-ビスを提供。Xeroxはこの買収の条件としてACSの負債$2Bを肩代わりし、ACSのクラスB株主(創業者・経営者等に与えられる議決権力の高い株主)に$300Mの転換優先株を発行。この条件や両社のシナジ-で疑問も持たれる事等から発表後Xeroxの株価は下落する事となる。但しXeroxはこの買収により2008年度には$3.5Bであったサ-ビス売上が来年には$10Bまで拡大する点、及び総売上高$22Bのうち$17BがRecurring(継続更新ビジネス)売上になる点を買収の目的としておりサ-ビス企業への変革となる声明を発表。
上記3社の買収は共にサ-ビスビジネスの強化と共に、今まで以上にト-タルのソル-ションを提供していく事で共通点が見られると考える事が出来る。特にAdobe, Xeroxは共に今回の買収をGame changingと言う言葉で表現。今後各社がどう変化していくか、市場での評価がどうなるかが注目される。

米国政府がCloud computing計画を発表
米国政府CIOのVivek Kundraは政府のITコスト削減と環境対応を狙うCloud computing計画を発表。現在米国政府には年間$76BのIT予算があるが今迄各省庁が独自にデ-タセンタ-構築を行った為、ITインフラだけで$19Bを超える程となっている。その結果Department of Homeland Security(国土安全保障省)だけでも23のデ-タセンタ-を保有する事となり、政府が消費する電力も2000年から2006年の6年間で2倍になる等、コストと環境の両面で早急な見直しが必要な状況となっている。そこで米国政府は現在一般市場に提供されているCloud computingサ-ビスでそのまま利用出来る物は積極的に採用する事を決定し各機関での利用を促す事になる。そこでUS General Service AdministrationはApps.govのサイトを開設しでGoogleやSalesforce.comのサ-ビス提供を開始。(IBM, HP, Xerox等からは何のサ-ビスも提供されておらず、最も多いのはsalesforce.com及びforce.comで開発されたアプリケ-ション) 将来的にはストレ-ジ・Webホスティング・Virtual Machine等へと拡大していく計画となっている。但し現在の文化を如何に変更させる事が出来るか、セキュリティ-の不安をどう払拭させるが課題と言われている。
一方Googleは政府のCloud computing計画を絶好のビジネスチャンスと捉え政府向けサ-ビスを強化。2010年にはGoogle Appsで米国政府セキュリティ-規格Federal Information Security Management Act (FISMA)の認証取得を目指しており、幅広くGoogleアプリケ-ションが政府で利用される事を計画。又その際アプリケ-ションはGoogleの米国内デ-タセンタ-にホスティングし、米国政府指定の規格をクリアする人材による運営と、デ-タが米国から流出しない技術の利用を進めている。

米国政府の職場改善向上取組み
US Office of Personnel Management(人事関連を取扱う連邦政府機関)は連邦政府の190万人職員に対し、テレコミュ-ティング推進と職場環境改善の為にGoogleとFacebookを参考にする事を発表。これは連邦政府自体が米国の職場環境モデルケ-スとなる事を目指しており、その為現在社員満足度が高いGoogle, Facebookを選択。両社はお洒落なオフィス家具に明るい色の壁や幅広い種類の写真を掛ける等の工夫がされているが、その背景や社員の健康管理等に付いて参考にしていく事となる。又テレコミュ-タ-(在宅勤務)は生産性の向上に繋がるとして、現在の10万人を今後ニ-ズに合わせて増加させる事を検討。現在まで在宅勤務による情報漏洩は一件も無かったが、リスクは問われる為今後一段とセキュリティ-を高め、安心出来るテレコミュ-ティング環境を構築する事を宣言。今回の発表は政府自体がモデルケ-スを目指し、積極的な在宅勤務への取組みや、オフィス環境のモデルとしてGoogle, Facebookを選択する事はアメリカのオ-プン性を感じる事が出来る。今後この取組みが米国政府をどう変化させていくのか注目していきたい。

2009年9月29日火曜日

米国Broadband普及の鍵

FCC(連邦通信委員会)は米国内でのBroadbandインフラは90%をカバ-しているにも関わらず米国の成人37%がその金額に対してメリットを感じない事からBroadbandに加入していないと言う調査結果を発表。オバマ政権がBroadband普及を目指す中インフラとは別に課題がある事が判明する。特に高齢者が必要性を感じておらず、今後各国民の医療関連情報等のアプリケ-ション強化が必要となる。一方、ネットワ-クインフラは整っていても地方では使い方の教育・トラブル発生時のサポ-トが大きく不足している事も明らかになっており、今後のBroadband普及での大きな課題として認識される事となる。

人材獲得を狙う買収

FacebookはBlog, webサイト, 写真・ビデオ, Twitter(マイクロブログ)等のアップデ-ト情報を自動的に収集するfeed aggregator企業FriendFeedの買収を発表。Friendfeedは2007年にGoogleでGoogle Map開発の中心となったBret Taylorをはじめ、Gmail開発のPaul Buchheit, Google MapsのJim Morris、Gmail及びGoogle appliance開発のSanjeev Singhを中心としたメンバ-で発足。今回の買収で社員12名全員がFacebookに異動するがそのうち8名は元Google社員である。FriendfeedはGmail, Google Talk, LinkedIn, Picasa web album, Flicker, YouTube, Digg等をサポ-トしており、自分が指定したユ-ザや情報を自動的に収集アップデ-トしてくれるサ-ビスを提供。SNSで業界をリ-ドするFacebookにとってはとユ-ザの囲い込みに勢いを付ける事となる。但し既にFacebookはサポ-トされているので買収する必要が無かったのではないかとの見方をされている。又買収には企業価値以上の対価が支払われたとの噂もあり、今回の買収は人材を手に入れる目的が大きかったのではないかとの憶測が流れている。実際のところは不明であるが、ちょっとしたアイデアとその実現速度が問われるWebビジネスでは人材確保は重要なポイントである為、今後も人材獲得を狙った買収は増加する事も考えられる。

Google CEOがAppleの社外取締役を辞任

2006年8月よりAppleの社外取締役であったGoogle CEOのEric SchmidtがAppleを辞任。Googleが進めてきたAndroid, Chrome等のOS・Browser、及び携帯電話の戦略でも両社の競合性が強まってきた事が背景となる。以前の両社は違うアプローチでUser Experienceの向上を目指していたが、最近では重なる領域が拡大してきておりFTC(米国連邦取引委員会)は両社の取締役を重複する事は独占禁止法に触れるのではないかと調査を開始していた。今回の辞任はFTCの調査から逃れる事だけでなく、今後両社はHead to Headの競合として争っていく事を公に宣言したと見る事が出来る。一方FTCは今回の発表後も調査を継続しており、今後どのような結論を出すかが注目されている。又Eric Schmidt以外にもApple, Google両社の社外取締役を兼任しているArthur Levinsonの去就も注目されている。Arthur Levinsonは今年の4月までバイオテクノロジ-の研究を中心とするGenentech社のCEOでありGoogle, Appleとは競合関係ではない。但し競合する両社の情報入手可能な状態で経営に関わる事をどのように判断するか、今後の動きが注目される。

Google Apps Scriptの公開

Googleはこの5月からパイロットとして提供してきたGoogle Apps Scriptを企業ユ-ザ向けに正式公開。これによりユ-ザがGoogle calendar, Gmail, Google spreadsheetを用途に合わせてカスタマイズし、企業内で必要なアプリケーションの作成が出来るようになる。カスタマイズにはGoogle spreadsheetのメニュ-からScript Editorを選択し、Javascriptで記述する事が必要となる。その為誰でも簡単にカスタマイズアプリケ-ションを作る事にはならないが、あくまでも企業ユ-ザを対象にIT部門等が企業内アプリケ-ションを作成する事が前提となっている。Googleは利用方法のサンプルとして出張精算のアプリケ-ションをデモ。そこでは出張後に入力する経費項目・ワ-クフロ-設定・承認/処理する人のe-mailアドレス・承認後の出金処理までのプロセス設定とメニュ-作成等を行うやり方が提示されている。又外国出張時は為替の外部web siteと繋ぐ事によりリアルタイムで外貨を自国通貨に変換する事等も可能となっている。これによりユ-ザは出張後に出張経費の費目・金額等を入力すると自動的に外貨計算から出金までのワ-クフロ-が流れる事となる。出張精算アプリケ-ションはOracle等のERPやLotus Notes等のグル-プウエア等から構築される事が大企業では多く見られる。そこにGoogleはweb service連携の強みを活かし、各種Web applicationとの繋ぎや、(GoogleのCloud computing platform) Google App Engineで利用されるアプリケ-ションとを統合する事により企業内のエンタープライズ用途の採用・拡大を狙っている。今後Google Apps Scriptが進化していくと、e-mail, calendar, 検索, ワ-クフロ-等企業で必要なアプリケ-ション全てがGoogleで対応可能となり、Googleの競合がYahoo, BingからMicrosoft, IBM, Oracle等へと変わっていく事も現実化していく事となる。一方Salesforce.comもGoogleとは少し違うアプロ-チで同じ方向に進んでおり、今年の6月に開始したForce.com free editionではユ-ザが無料で出張清算等のアプリケ-ション作成が可能となっている。これにはワ-クフロ-対応が標準で入っており、出張清算以外でも企業内で必要となる承認プロセスを含む各種アプリケ-ションの構築・運営・利用が可能となっている。この両社の動きは今後アプリケ-ションの構築や対価に対して市場の考え方を大きく変える可能性もあるので、今後注目していきたい。

2009年9月12日土曜日

Microsoftの無償Office webが意味する事

Microsoftは2010年5-6月に発売予定のOffice 2010にあわせ、無料でWord, Excel等が利用出来るようになるサ-ビスOffice Web Appsをラウンチする事を発表。Microsoftにとっては2009年度で約$20B(約2兆円)と言われているMS Officeビジネスは重要な収入源であり、且つ現在もOffice suite市場で80%以上のシェアを獲得出来ている中でのweb無償化は大きなリスクでもある。但しその背景にはGoogleの無償Office suite Google Docsの存在と共に、Microsoftのビジネス構造の変革期に来ているとの見方がされている。 Google Docsは着実に企業利用ユ-ザを伸ばし、現在世界中で175万社にまで拡大。その背景にはGoogle製ブラウザ-Chrome、携帯電話用OS Androidのサポ-トにより利用性が向上した事が指摘されている。Androidは携帯端末だけでなくネットブック等の小型ラップトップでも採用が進んでおり、ユ-ザも軽量小型化から携帯端末に近い感覚での利用が増加。そのような状況の中Office suiteも業務用ドキュメント作成ソフトと言うだけでなく、何時でも・何処でも・どんなデバイスでも如何に速く・使いやすく利用出来るかと言う点が重要になってきている。そしてドキュメント作成時に必要な情報収集はネットで行われる為、検索エンジンとの統合も重要となり、結果的にOS, Search, Office suiteがインタ-ネット環境上で融合する事が求められる時代になってきていると見る事が出来る。このような背景の中、
オンライン広告ビジネスの採用等により無償でOffice suiteを提供していく事はMicrosoftにとっても必要な選択肢となり、”iPhoneを使うとGoogleは無料でプレゼン資料が見える”と考えるユ-ザの取り込みを真剣に考えた結果と見る事が出来る。
上記を考えると今後一段と”Android+ Chrome+ Google Search+ Google Docs”対”Windows+ Internet Explorer+ Bing+ MS Office”の戦いは激しくなり、ユ-ザにとっては使い易い・便利なサ-ビスが増加する事が期待出来る。因みにMicrosoftはOffice Web Appsの無償利用にはWindows Live Online Serviceアカウントからでしか入れない方針を発表。これはOfficeの利用だけでなくWindows Liveが提供するストレ-ジ・ブログ・e-mail等の各種サ-ビスへとユ-ザの利用拡大を狙っていると考えられている。そして各種サ-ビスを利用する中で検索のBingや広告プログラムから売上にも繋がるビジネスの構築を計画。一方Officeを採用している企業ではセキュリティ-重視からSaaSモデルを敬遠する可能性もある為、MicrosoftはWeb Office Appsのハイブリッドモデルを準備。企業はMS Officeソフトを購入し自社にサ-バを構築すると、社員はOffice Web Appsのインタ-フェ-スから社内サ-バにアクセスして利用する事が可能となる。その結果企業にとってはセキュリティ-を保持したままWeb U/Iの利用によりアップグレ-ド等の負荷が軽減される事となる。尚、MicrosoftはOffice Web AppsではGoogleのChromeをサポ-トしない事をこっそり発表しており、今後も面白い戦いが続くと考えられる。

Cloudベ-スのID管理サ-ビス普及の兆し

SaaSを初めとしたWeb serviceの利用が拡大する中、ユーザにとってはログインする為のUsername, Passwordが増加する事が大きな負担となってきている。シングルサインオンを可能とする業界標準のOpenID等を利用するユーザも増加してきているが、CloudベースでID管理サービスを利用し各サービスのシングルサインオンを実現しているユーザが増加。ID Analytics, Privo, Conformity, Symplified, Ping Idenitity等が注目されており、2010年にはこれらのユーザが大幅に増加し4人に1人はユーザになるとの予測も出ている。今後大手企業の参入も含めシングルサインオンでユーザにとっては便利差が増す事になる。

SaaS拡大の鍵になり得るOnline payment

eBayの子会社でOnline決裁サ-ビスを提供するPayPalはOnline paymentを各種サ-ビスに統合する為のインタ-フェ-スAdaptive Payments Serviceを7月に発表。これによりSaaS業者はPayPalが提供する外国通貨(世界19の通貨をサポ-ト)での決裁から複数宛送金の単一処理、マイクロペイメント(百円以下のような小額決裁)等の機能を自社サ-ビスに容易に統合可能となる。 PayPalはeCommerce, SaaS普及と共に拡大してきたOnline payment市場で7,540万ユ-ザ獲得まで成長し、現在も20%の成長率を保っている。そのPayPalへの対抗としてAmazonはAmazon Flexible Paymentサ-ビスを今年の2月にリリ-ス。自社eCommerceでの利用だけでなく、Amazonのクラウドコンピュ-ティングAmazon Web Serviceでの利用も促進する為にAPIを提供。今回のPayPal発表のAPIはAmazonとほぼ同等になっており、今後eBay, Amazonが激しく争っていく事になると見られている。今回のPayPalの発表を受けMicrosoftは自社クラウドコンピュ-ティングのAzureでPayPal Adaptive Paymentをサポ-トする事を発表。これによりAzureを使ってSaaS等のサ-ビスを提供する企業はPayPalが持つフレキシブルな決裁が可能となる。又同様にAmazon Web Serviceを利用する企業もAmazonの決裁サ-ビス利用が可能となる為、SaaS/eCommerce業者にとっては容易に決済機能を取り込む事が可能となる。これにより今回のPayPalの発表はAmazonのサ-ビスと共に今後のSaaS普及にとって重要な役割りを占めると考えられ、今後一段と多くのSaaSサ-ビスが市場で展開されてくる事に貢献する事が考えられている。
ちなみにeBayは第2四半期が売上げ$2.1Bで前年度比-4.5%、利益は$327Mで前年度比-29%となった事を発表。オ-クション/eCommerceが-14%となったのに対しPayPal等のオンライン決裁は+11%となる。現時点でのオンライン決裁事業はオ-クションの約半分であるが、将来的にはオンライン決裁事業がオ-クションを上回る事になると見られている。