2010年12月24日金曜日

ソ-シャルネットワ-ク向けBrowser

Netscape生みの親であるMarc Andreesen保有の投資会社等より$10Mの投資を受けているRockMeltWebブラウザ-”RockMelt”のベ-タ版をリリ-ス。このブラウザ-GoogleChrome同様オ-プンソ-スのChromiumをベ-スに、Facebook等のソ-シャルネットワ-クで使い易いブラウザ-をコンセプトに作られている。多くのユ-ザはつぶやきのTwitter、検索はGoogle、メッセ-ジはFacebook等、ブラウザで複数のウインドウかTABを開き、ブラウザを行き来する事が多い。ソ-シャルネットワ-クの普及拡大が複数のウインドウを必要とさせてきた為、RockMeltFacebook, Twitter, Google等へのアクセスを1つのウインドウで対応し、SNSとの親和性が高い事を武器に市場を狙う。FacebookのアカウントでRockMeltにログインするとウインドウの端にFacebookの友人のリストが表示され、そこでチャットやWallの利用が可能となっている。又右のサイドバ-にはTwitterを初めとした各種サ-ビスのリストが表示され、新しい投稿等があるとアイコンで表示。そこをクリックするとポップアップ画面で内容を簡単に確認出来るようになっている。又RockMeltには大きなShareと言うボタンがあり、これをクリックする事で特定のWeb-ジをFacebookTwitterで共有する事が可能となっている。Facebookを初めとしたSNSの普及でWebに新しい時代が来ているとの見方もされているが、その結果SNSを中心としたブラウザ-が出現してきたのは興味深いと思われる。SNSは今後も拡大すると思われるが、RockMeltのようなブラウザ-が受け入れられるか、又はFacebook Messagesのような統合サ-ビスが普及するのか注目していきたい。

Facebookの新メッセ-ジサ-ビス

Facebookは新しいメッセ-ジサ-ビスとなるFacebook Messagesを発表。Facebookはユ-ザが世界中で5億人を超えるが、そのうち3.5億人がチャットとメッセ-ジングを利用し、毎日40億件のメッセ-ジが送信されている。メッセ-ジ増加の背景には高校生等の若い世代がe-mailを“遅く、フォ-マル過ぎる”と感じている事があり、今後メッセ-ジングは一段と重要になると判断。そこでFacebookは、Seamless, Informal, Immediate, Personal, Simpleと言う5項目を中心にメッセ-ジサ-ビスの刷新を実施。具体的には以下の3点が大きな特徴となる。


Seamless Messaging: メッセ-ジを送る相手によってe-mail、テキストメッセ-ジ、チャット等と使い分ける必要がなく、相手のユ-ザ名を選択するだけで最も適切な形式でメッセ-ジでの送受信が可能となる。ユ-ザは@facebook.comのアドレスによりチャット・メッセ-ジとe-mailの間で送受信が可能となる。

Conversation history: チャット、e-mail、テキストメッセ-ジに関係なく、全てのメッセ-ジは相手との会話として履歴を管理。相手とどの手段で連絡を取ったかを気にせずに履歴が確認できる。

Social Inbox: インボックスに入るメッセ-ジは友人か、友人の友人だけに限定され、知らない人のメッセ-ジはotherフォルダ-で受信。友人以外のメッセ-ジを拒否する事でスパム対策が行えるが、otherで必要なメッセ-ジは簡単にInboxへ移動が可能。

今回のFacebook新メッセ-ジサ-ビスはe-mailを否定している訳ではなく、e-mailに取って代わる事にもならないが、この動きがGoogle対Facebookの争いを加速させるとの見方もされている。Facebookは10月にMicrosoft Bingと提携し検索にソ-シャルな部分を組み込む事を発表。又、Facebook Messageの発表では同じタイミングでMicrosoft Office Web AppsをFacebookの新しいInboxに統合させる事を発表しており、ここ最近FacebookとMicrosoftの親密さが増している。その背景にはMicrosoftがビジネス市場でもソ-シャルネットワ-クが拡大すると見込み、その布石としてFacebookの関係を強化しているとの見方もされている。Googleも以前からソ-シャルネットワ-クサ-ビスを進めているが成功しておらず、今後どのような動きに出るのかも注目されている。将来的にビジネス市場でソ-シャルネットワ-クが拡大した時、この3社はどう動いていくのか、又salesforce.com等も含めて実際どこのサ-ビスが市場に受け入れられるのか注目していきたい。

OracleとSAPの訴訟に$120Mの判決

OracleがSAPに買収されたTomorrowNowがOracleのソフトやドキュメントを不正にダウンロ-ドしたとして訴えていた裁判で、SAPに対し$120Mを支払う判決がでる。TomorrowNowはOracleが買収したPeopleSoft, J.D. Edwardsのサポ-ト・サ-ビスを提供していた為、SAPはOracleの顧客を自社に切り替える目的で2005年にTomorrowNowを買収。但し買収後2007年にOracleから訴えられ、係争中にSAPは不正ダウンロ-ドを認める事となった為2008年にはTomorrowNowのビジネスを閉鎖。今回の判決は過去と将来の弁護士・訴訟費用が中心で$120Mという金額の設定となっているが、Oracleは今回の不正行為により顧客を失った被害額は$1.6~$3Bになると主張。SAPはOracleの被害額は$28Mであると主張しており、両社で大きな隔たりが出ていた。


一方、証言を通じてSAPはTomorrowNowを買収する時にOracleから訴えられるリスクを認識していた可能性も指摘されていた。Oracleはその可能性を証明する為にHPの新CEOとなったLeo Apothekerの証言を要求。Apothekerは買収時にSAPでPresident of global customer solutions and operationsであり、PeopleSoftの顧客をSAPに乗り換えさせるビジネスを推進していた。そこで、Oracleは証言を要求し裁判所への出廷を求めたが、Apothekerは拒否。出廷候補日前後は所在地を明らかにしなかったと報じられている。今回の訴訟はSAPが$120M支払う事で一応の決着が見られると思われるが、Oracleの矛先はHPに向き始めているの見方もありApothekerの責任を今後も追及する可能性も指摘されている。

Microsoftのクラウド戦略

クラウド強化を図るMicrosoftはMS Exchange Online, SharePoint Online, Office Live Meeting, Microsoft Lync Onlineで構成されるBPOS (Business Productivity Online Standards Suite)でDuPont 58,000 user)、Volvo (18,000 user)等の大手商談を獲得した事を発表。BPOSは既にCoca-Cola, McDonald’s, Starbucks等が利用しており、大手企業での採用が拡大している。但しe-mailをベ-スとしたサ-ビスはGoogle Apps, IBM Lotus Live等もあり、今後CiscoもWebEx mailで参入する事から競争が激しくなってきている。そこでMicrosoftはMS Officeの機能をクラウドで提供するOffice Web Appsを強化する事で他社との差別化を狙い、BPOSとOffice Web Apps (Word, Excel, PowerPoint, OneNote)を統合するサ-ビスOffice365を発表。価格は25人未満の企業には$6/user/月。エンタ-プライズ企業向けにはe-mailだけだと$2/user/月、e-mail, voice mail, ソ-シャルネットワ-ク, IM, Web portal, ビデオ会議, Web会議, 24時間サポ-ト等を含むトータルサ-ビスは$24/user/月で提供。又、今後オンラインCRMのMS Dynamics CRM Onlineとの統合や、教育機関向けのサ-ビスを2011年にリリ-スする事を計画。


Office365発表の翌日MicrosoftはNew York市が10万人の職員を対象にMicrosoftのクラウドサ-ビスを5年契約で合意したと発表。先ずは3万人がBPOSの利用を開始し、その後Office365に拡大を計画。これによりNew York市は年間$10M(5年で$50M)をセ-ブ出来ると発表している。又California州も同日20万人の職員を対象にMicrosoftのクラウドサ-ビス採用で合意したと発表。契約自体はIndefinite delivery/ indefinite quantityと言う納期・ボリュ-ムが完全に確定していない内容となっているが、最大20万人に拡大する可能性がありMicrosoftにとって最大のクラウドサ-ビス顧客となる。カリフォルニア州ではLos Angeles市がGoogleの導入を進めている為、今後州内でGoogle, Microsoftの両クラウドサ-ビスが利用される事となる。ちなみに今回のCalifornia州への販売はSIのCSC (Computer Science Corp.)が行っており、今後現在のシステムからクラウドへの移行等のサ-ビス全般を担当していく事となる。CSCの売上は$50M程度と見られているが、今後カリフォルニア州内で利用が進むGoogleとMicrosoftの両クラウドサービスが其々どう評価されていくか注目される。

Facebookがdrop.ioを買収

Facebookはドキュメント・画像・ビデオ・音声等のファイルをオンライン上で共有するサ-ビスのdrop.io買収を発表。drop.ioはファイル保存時に保存期間・共有対象者・編集権限等のパ-ミッション設定等が行なう事が出来、共有後にユ-ザ間でインスタントメッセ-ジを行いながらファイルの追加を行う等、リアルタイムでのコラボレ-ションが可能となっている。


今後drop.ioのサ-ビスは閉鎖する事が発表された為、Facebookはdrop.ioのサ-ビス継続よりも、技術・人材に興味があったと見られている。又、Drop.ioはコンシュ-マ-市場中心であったが、Facebookは企業市場での展開にdrop.io技術を展開するのではないかとの見方もされている。Salesforce.comのChatterが企業向けSNSとして注目される中、Facebookもビジネス市場での拡大を狙っていると見られており、今後drop.ioの技術をどう利用するかが注目される。

調査会社TNSがDigital Life調査を実施

TNSは46ヵ国のオンラインユ-ザ-5万人(16-50歳)を対象にDigital Lifeの実態を調査。国によってはデジタルデバイド(インタ-ネットなどの情報技術(IT)を利用出来る人と出来ない人との間に生じる格差)が大きく存在する為、この結果で国全体を語る事は出来ないが、大変興味深い結果が報告されている。


 オンラインユ-ザは日々情報を入手する手段としてInternetの利用が最も高い。(Internet 61%, TV 54%, Radio 36%, 新聞 32%, 雑誌 14%)

 ネット上での友達の数: 1位マレ-シア(233人)、2位ブラジル(231人)、3位ノルウエイ(217人)。ちなみに日本は28人と最下位。

 Social Network利用時間:1位マレ-シア(週に9時間), 2位ロシア(8.1時間), 3位トルコ(7.7時間)。

 SNS等Webに写真をアップロ-ドした経験:1位タイ(92%), 2位マレ-シア(88%), 3位ベトナム (87%)。

この報告書ではデジタルライフのキ-ワ-ドに新興国市場を上げており、ネットインフラ整備が遅れてきた新興国市場の方がブログやソ-シャルネットワ-クの普及速度が速い事を指摘。又全般的にe-mailよりソ-シャルネットワ-ク利用時間の方が増えてきており、オンラインアクセスもPCからモバイル機器へと移行している事を報告している。

ネットユ-ザには常時ネット接続し自分の意見を多くの人に伝えたいInfluencer、オフラインよりもオンライン上での自己表現を好むCommunicators、ネットで知識や情報を収集するKnowledge-seekers、友達を作ったり関係を維持する為に利用するNetworkers, ネット初心者でこれから活用を行うAspires, ネットは単に道具と考えるFunctionalsの6種類に分かれると定義。Influencerは南欧・東欧、中東・北アフリカ、中国・インド、Communicatorsは中国とアジアの新興国、Knowledge-seekersは中南米、南欧・東欧、Networkersは北米・欧州、Aspireは南アフリカ、中東・北アフリカ、インド、アジア新興国、Functionsは北米、欧州、アジア先進国に多い事を指摘。日本人はネットを道具で活用するFunctionsが41%・自己表現のCommunicatorsは12%であるが、中国では逆にFunctionsが2%, Communicatorsが40%。又ベトナムでもFunctionsが1%, Communicatorsが48%となる。これらの結果はネット上のデジタルライフでも利用法や考え方に地域特性がある事を証明しており、新興国ビジネスの参考となると考えられる。

(詳細はhttp://discoverdigitallife.comを参照

2010年10月21日木曜日

ミネソタ州がMicrosoftのクラウド採用

IBM Lotus Notes, Novell GroupWise, 複数バ-ジョンのMS Exchange等、州内で約30の異なるメッセ-ジ・コラボレ-ション・アプリケ-ションが稼働しているミネソタ州は、統合・効率化を検討しMicrosoft Productivity Online Suiteのクラウドサ-ビス採用を決定。今後州内の公務員33千人を対象に導入していく事となる。Los Angeles市は3万人、コロラド州は将来的には45千人をまで拡大する計画でGoogle Appsが採用される等、政府関連でクラウドサ-ビスの大手採用が続き、コスト削減に大きな注目が集まっている。ミネソタ州でもコスト削減はクラウド採用の要因となっているが、10年以内に半数近くの職員が退職する事で、現在のシステムの継続運用が難しくなる事が大きな背景となっている。ミネソタ州は既にCRMやクレジットカ-ド決済等のアプリケ-ションでクラウドサ-ビス(SaaS)を採用している為、クラウドによるシステム運用の容易さを理解していた事が今回の採用にも大きく影響する事となる。又、今回のメッセ-ジングサ-ビスが立ち上ったら、将来的にオフィススイ-ト(Word, Excel, PowerPoint)等のアプリケ-ションのクラウド採用も検討する予定となっている。

MicroStrategy社がiPadの大型導入決定

多くの話題を提供しながらも企業の導入では100台程度の規模が多かったiPadであるが、BIソフトのMicroStrategy社は1,100人の導入が既に完了し、今後700人に追加導入する計画を発表。iPadの大型導入事例として注目を浴びている。MicroStrategyでは、セ-ルス部門とマネ-ジメント職を対象に導入しており、セ-ルスは見込み客との打ち合わせにiPadでビデオやデモ等に活用。又、マネ-ジメント向けには出張精算・購入申請・休暇依頼等の各種承認依頼等のアプリケ-ションをiPad対応し、社内でも外出先でもワンクリックで承認・却下等が行なえるようにプロセスを対応。パソコンの作業をiPad対応にする事で、業務の効率化向上を狙っている。MicroStrategyiPad-ザはパソコンより立ち上りが早い事と、iPad対応アプリケケ-ションでは多くの業務が指先のクリックで対応出来る事による生産性向上を評価している。又、e-mail等で文字入力が必要な時はBluetoothマウスとキ--ドで対応出来る為、MicroStrategy社はオフィスでの通常業務もiPadで問題無くパソコンをリプレ-ス出来ると判断。採用決定の背景にはTCOも大きな要因となっており、導入時のハ-ドウエアコストだけでなく、購入後のメンテナンスコストにも注目。通常ラップトップにはメンテナンス・ライセンス・サポ-ト費用で3年間に$1,000かかるのに対し、iPad2年間$400ですむ事が導入の大きな要因となる。又今後ビデオチャットやドキュメントのコラボレ-ション等にiPadの利用を拡大していく構想もあり、将来的な展開も含めての大型採用となる。MicroStrategyは米国だけでなく、米国外のオフィス・社員にもiPad利用を進める計画でグロ-バルな利用を計画している。パソコン+iPadの併用での企業利用は見られたが、MicroStrategyのようにパソコンをiPadでリプレ-スする事は新しい動きとして注目される。今後Lotus Notes, MS Outlook等を初めとした各種エンタ-プライズアプリケ-ションのiPad対応が進み、簡単なフィンガ-クリックで業務対応が出来るようになると、タブレット端末がラップトップをリプレ-スするケ-スが増加する事が予測される。但し端末がiPadになるか、Androidになるかは大きく注目される事となり、その勝者は大きな市場を獲得する可能性が出てくると考えられる。

新しい検索手法のGoogle Instant

Googleはユ-ザが検索の入力途中に検索語を予測し、その候補を検索語のボックスに表示するGoogle Instantを発表。ユ-ザは入力途中に自分が探している言葉が表示されたら、それを選択するだけで検索が可能となる。Googleは検索の高速化を追求しており、Google Instantでは1回の検索で平均2-5秒の時間を短縮出来ると発表している。


Google Instantは入力途中に検索語を予測して候補を表示するPredictions、検索候補の結果をリアルタイムに表示するDynamic Results、複数の候補が出た時にスクロ-ルで選択すると瞬時に検索結果を表示するScroll to searchの3部構成となっている。GoogleはGoogle Instantのコンセプトを実現の為に数年前から開発を進めていたが、上記した構成の実現には大規模なコンピュ-ティングパワ-が必要となっていた。本来Googleは世界で最も高性能なコンピュ-ティングシステムを保有しているとも言われているが、開発当初はこのコンセプト達成に、システムの負荷が通常の検索の20倍になっていた。その為、市場にリリ-スする為には、改良・調整が必要となり、現在では負荷レベルが2-3倍になったと言われている。但しシステムへの負荷は言語によっても違ってくる為、今後国単位でリリ-スされる計画となっており、9月の米国リリ-スを皮切りに今後ドイツ・イタリア・ロシア・スペイン・イギリスでの提供が予定されている。(日本等のアジア地区は未発表。)

ここ数年検索ではライバル関係のGoogleとYahooが争ってきたが、YahooはMicrosoftのBingを採用し、その統合が先月完了したところである。従って今後はGoogle対Microsoftの戦いになっていく事になるが、MicrosoftがBingでGoogle Instantと同様の開発を行うには相当の開発時間・労力が必要になると見られている。従ってGoogle Instantが市場で高く評価されると、Yahoo・Microsoftには痛手となりGoogleにユ-ザを奪われる事も考えられる。但しGoogle Instantが全ての人に受入れられるがどうかを疑問視する見方もあり、検索候補を勝手に出されるのを嫌うユ-ザが出てくる事も予測されている。今後Googleの追い求めるスピ-ディ-な検索がどこまで市場に受け入れられるか、又Yahoo・Microsoftがどのように対抗していくかに注目される。

2010年9月23日木曜日

IaaS (Infrastructure as a Service)拡大

米国調査会社Yankee Groupは、クラウドサ-ビスが企業に普及する中で、IaaS (サ-バ-等のハ-ド、ソフト、ストレ-ジ、ネットワ-ク等のインフラをネットワ-ク上で利用出来るサ-ビス)が企業で拡大しているレポ-トを発表。この調査は米国の大手企業424社に対して行われ、24%の企業が既にIaaSを利用、又37%が今後利用計画があるとの結果が報告される。従って多くの企業がIaaSに注目している事となるが、その一方でサ-ビスを利用する際に仮想化のセキュリティ-が最も大きな課題として捉えられている結果が出る。既にIaaSを採用している企業でもセキュリティ-に全く心配が無い訳ではなく、コストを含めたメリットを重要視する事で採用に至っているとの報告がされている。尚、この調査ではCloud computingで利用するアプリケ-ションに付いて質問を実施。

SaaSで利用するapplicationはCloud computingで信頼のおけるプロバイダ-は、
     Production-ready application deployment: 55%
     Application development and testing: 44%
     Storage: 44%
     Accessing to extra computing power on demand: 43%
     Backup/ Recovery: 40%
     Data mining/ analysis: 39%



     Technology integrator (IBM, EDS, Accenture): 29%
     Hardware & Software vendor (IBM, HP, Cisco, EMC, VMWare, etc.): 23%

     Telecom company (AT&T, Verizon, BT, etc.): 18

     Web2.0 company (Amazon, Google, Salesforce.com, etc.): 17%

     Data center provider (Rackspace, Savvis, etc.): 13%


Cloud computingやIaaSで有名なのはAmazon, Salesforce.com, Google等であるが、多くの企業はSI業務等で実績があるようなIBM, EDS, HP等の企業の方に優先度を上げている事が注目される。逆にCloudやIaaSはITの一つの選択肢として浸透してきたとの見方をする事も出来ると考えられる。


Delta航空のFacebookサポ-ト

世界最大の航空会社の米国デルタ航空は、業界で初めてソ-シャルネットワ-クサイトのFacebookから航空券を購入出来るサ-ビスを発表。Facebookのペ-ジで購入したユ-ザは航空券の日程をFacebookの友人と共有出来るようになる。Facebookは世界中に5億人を超えるユ-ザを保有する世界最大のソ-シャルネットワ-クサ-ビス(SSN)であるが、デルタ航空は単に大手SSNをサポ-トする判断ではなく、先ずデルタのユ-ザが何のサイトを利用しているかの調査を実施。デルタ航空は米国内で1日2,000便以上で機内有料WiFiサ-ビスを提供しているが、そこでユ-ザがどのWebサイトを利用しているかを調査。その結果デルタの顧客が最も多く訪れていたサイトがFacebookと判明する。そこで、Facebookで航空券の購入が可能となり、その情報がFacebook内で共有出来る事が顧客にとって便利になるとの判断を行う。又機内WiFi利用ユ-ザはPCだけでなく、iPhone等での利用もある為、併せてiPhoneアプリケ-ション対応も計画。ユ-ザはiPhoneから航空券のスケジュ-ルを確認出来るだけでなく、iPhoneでチェックインが出来るサ-ビスの準備を進めている。



Facebook等のSSNは一見プライベ-トでの利用が多い為、ビジネスに結びつきにくいと見られる傾向があるが、デルタ航空は実際に顧客の行動からビジネスタ-ゲットになると判断。米国の調査会社Yankee Group Research社は一般ユ-ザは、ビジネスでもFacebookやTwitterを利用したいと考えているとのレポ-トを発表。但し、ビジネスでTwitterやFacebook等のソ-シャルネットワ-クをサポ-トしている企業は全体の30%しかない事を指摘。ユ-ザが望んでいるので、より多くの企業がソ-シャルネットワ-クに真剣に取組む事を提言している。

IBMのUnica買収

BMは各種マ-ケティング施策結果や、Webサイトの閲覧状況等から、顧客の嗜好を分析・予測し、企業に適した広告キャンペ-ンを企画提案するソフトのUnica社を$480Mで買収する計画を発表。IBM自身がUnicaのユ-ザであるが、UnicaはIBM以外にもBestBuy, eBay, Monster, Starwood hotel等大手を含む1,500社以上の顧客を保有。IBMは5月にクロスチャネルのフルフィルメントサ-ビスを行うSterling Commerceを買収し、6月にはWebデ-タ解析ソフトのCoremetrics社を買収しているが、これら3社の技術を取込み・統合する事で、企業のマ-ケティングプログラム全体のサ-ビスを提供する事を計画。企業の需要創出・販売・注文処理・フルフィルメント等全般のビジネスプロセスを自動化・管理するサ-ビスが提供出来る体制の準備を進めている。


一方AdobeもIBMと似た動きを行っており、昨年9月にWeb情報の収集・蓄積・デ-タ解析、及びマルチチャネルのマ-ケティング・セ-ルス活動の提案を行うOmnitureを買収。又今年の7月にはWebコンテンツ管理、デジタルアセット管理、ソ-シャルコラボレ-ション等のサ-ビスを提供するDay Softwareを買収。Adobeはこれらのサ-ビスを統合し、Webコンテンツの制作から管理・公開・マ-ケティング・セ-ルス・収益化を統合したサ-ビスを提供する事を計画。そして、そのサ-ビスにAdobe Flash, Flex, PDF, LiveCycleを統合させ、幅広いマ-ケティングサ-ビスの提供に拡大させる事を計画している。

多くの企業は、マ-ケティング・セ-ルス活動で、複数社のサ-ビスを目的に合わせて利用する事が多く見られたが、IBM, Adobeは企業に対してWeb技術等を利用した上でマ-ケティングのワンストップサ-ビスを提供する事を計画し、買収で必要な技術を取得しながら、ビジネスの拡大を目指している。

2010年8月22日日曜日

各企業のBrowser戦略

Dellはセキュリティ-を強化したブラウザ-Dell KACE Secure Browserをリリ-ス。このブラウザ-は仮想化環境でFirefoxを動かす為、ブラウザ-自体がコンピュ-タやOSと切り離されて動き、マルウエア等の攻撃を受けたとしてもコンピュ-タが被害を受けないように構築されている。また、ブラックリスト(怪しいサイト)・ホワイトリスト(安全なサイト)を参照する為、危険なアプリケ-ションの利用やサイト侵入を防ぐ事が出来る。Dellは、今後このKACE Secure BrowserをDellのパソコンに標準装備する事を計画。又Dellユ-ザ以外にも無償ダウンロ-ドを提供。ちなみに、このブラウザ-は買収したKACE社の技術を利用した為、ブラウザ-名称にもKACEを残す事となる。


一方IBMは社内PCの標準ブラウザ-をFirefoxに指定し、全社員(グロ-バルに約40万人)に利用を通達。今迄のデフォルトブラウザ-はMS Internet Explorerであったが、今後社員に提供されるPCはFirefoxがデフォルトでインスト-ルされ、現在Chrome, IE等のブラウザ-を利用している社員は、Firefoxに変更する事を計画している。背景としてFirefoxがOpen sourceであり、各種標準への対応が進んでいる事・セキィリティ-が高く常にコミュニティ-全体でセキュリティ-強化を進めている事・カスタマイズが容易な事・開発が特定の一社でなくコミュニティ-全体が責任を持っている事等がIBMの戦略に合っていると発表。自社のBrowserを持たないIBMにとっては、MicrosoftのIE, GoogleのChrome, AppleのSafari等、ある特定の企業の戦略に左右される事を恐れているとの見方がされている。

企業にとっては、セキュリティ-強化と共に、全てのブラウザ-(IE, Chrome, Safari, Firefox, etc.)をサポ-ト・動作保障を行なうのは大きな負担となってきており、今後DellやIBMのようにブラウザ-を特定する企業が増加する事が考えられる。

Facebookのプレゼント戦略

Facebookはゲ-ム・カ-ド・アイコン等をプレゼント出来るFacebook Gift Shopの閉鎖を発表。但し既にプレゼントを受取りFacebookのペ-ジに表示されているユ-ザには今後も継続した表示・サ-ビス利用を提供。元々このサ-ビスはオンラインコンテンツだけでなく、実際の商品のプレゼントへと拡大させる事が計画されていたが、実現する事無く閉鎖となる。同じタイミングでAmazonがFacebookユ-ザのプロファイルから各種プレゼントを提案するサ-ビスを開始した事が発表される。このサ-ビスには、AmazonとFacebookの接続・承認を行うオプトイン方式が採用されており、ユ-ザの合意が必要となっている。従って、自分の知らない間に勝手にAmazonがプレゼントの提案を始める事はない。今回のAmazonの発表はFacebookが自社でギフトショップを構築するよりも、専門業者であるAmazonと手を組んだ方が、より良い選択であると判断したと推測される。これはWebサ-ビスの利点を有効に利用しており、今後も同様の連携が各社から見られる事が予測される

AmazonとIBMがCloud champion

ITコンサルティングのBTC Logicはクラウドサ-ビス企業のランキングを行い、AmazonとIBMがチャンピオンになったと発表。このランキングはクラウドサ-ビスをCloud Foundation, Infrastructure, Network service, Platform, Application, Security, Managementの7カテゴリ-で評価を行い、そのト-タルで全体のランキングを決定。AmazonとIBMは共に7カテゴリ-のうち4カテゴリ-でトップ5にランクインし、チャンピオンのランクを取得。その次のランクにはMicrosoft, Google, RedHat, Salesforce.com, Symantec, VMWare, Citrix, EMC, Oracle, Level3, Ciscoが入り、Cloud Heavyweightと格付けされる。その下はAT&T, Aylus Network, Rackspace, SAP, Sonoa, Raleo, Terremarkがランクされ、Cloud contendersとなっている。この上位20社に入らない企業は戦略等の見直しが必要と位置づけており、HP, CSC, Savvis, AT&T, Verizon等がリスト化されている。ちなみに各カテゴリ-の1位は次の通りとなる。Infrastructure: Amazon, Foundation: VMWare, Network service: Level3, Platform: Amazon, Application (Company-wide): Salesforce.com, Application (Other): SAS, Security: EMC, Management: IBM  (http://www.btclogic.com/documents/BTCLogic_TopTen_Q22010.pdf)

MicrosoftのWP7戦略

MicrosoftはWindows Mobileで苦戦するスマ-トフォン市場でWP7(Windows Phone 7)により巻き返し、iPhone, Androidと対抗する事を計画。WP7はPC(Windows), 電話(WP7), ゲ-ム(XBox), 音楽プレイヤ-(Zune)等をWindows Live(Microsoftが提供するWebサ-ビス)で繋ぐ事により、ユ-ザはどの端末でもe-mail, calendar, 写真, 検索(Bing)にアクセス出来るようになる。又、クラウドに置かれるオフィスドキュメントを各デバイスで編集したり、XBoxのゲ-ムをWP7電話でプレイしたり、MP3をWP7で購入するとZuneで聞く事が出来るようになる。Microsoftは7月にLGとSamsungが開発しているWP7の試作機を数千台世界中の開発者に配布したと言われており、ソフトハウスに対し年末発売に向けた準備を促していると見られている。又HTC, Dell等も携帯電話端末の開発を進めており、今後iPhone, Androidフォンと競合していく事となる。 Microsoftの各種異なるデバイスをクラウドで繋ぐ戦略は、大きな将来性が感じられるが、音楽プレイヤ-はZune, ゲ-ムはXbox, 電話はWP7等とMicrosoft製品に限定している点が市場を狭めているとの見方もされている。今後、Microsoft製品だけでなく、音楽プレイヤ-はiPod, ゲ-ムはPlayStation・Wii、電話はiPhone, Android等も全てクラウドで繋ぐようなサ-ビスが出てくると、市場での大きな反応が出る事が予測される。