2009年9月29日火曜日

米国Broadband普及の鍵

FCC(連邦通信委員会)は米国内でのBroadbandインフラは90%をカバ-しているにも関わらず米国の成人37%がその金額に対してメリットを感じない事からBroadbandに加入していないと言う調査結果を発表。オバマ政権がBroadband普及を目指す中インフラとは別に課題がある事が判明する。特に高齢者が必要性を感じておらず、今後各国民の医療関連情報等のアプリケ-ション強化が必要となる。一方、ネットワ-クインフラは整っていても地方では使い方の教育・トラブル発生時のサポ-トが大きく不足している事も明らかになっており、今後のBroadband普及での大きな課題として認識される事となる。

人材獲得を狙う買収

FacebookはBlog, webサイト, 写真・ビデオ, Twitter(マイクロブログ)等のアップデ-ト情報を自動的に収集するfeed aggregator企業FriendFeedの買収を発表。Friendfeedは2007年にGoogleでGoogle Map開発の中心となったBret Taylorをはじめ、Gmail開発のPaul Buchheit, Google MapsのJim Morris、Gmail及びGoogle appliance開発のSanjeev Singhを中心としたメンバ-で発足。今回の買収で社員12名全員がFacebookに異動するがそのうち8名は元Google社員である。FriendfeedはGmail, Google Talk, LinkedIn, Picasa web album, Flicker, YouTube, Digg等をサポ-トしており、自分が指定したユ-ザや情報を自動的に収集アップデ-トしてくれるサ-ビスを提供。SNSで業界をリ-ドするFacebookにとってはとユ-ザの囲い込みに勢いを付ける事となる。但し既にFacebookはサポ-トされているので買収する必要が無かったのではないかとの見方をされている。又買収には企業価値以上の対価が支払われたとの噂もあり、今回の買収は人材を手に入れる目的が大きかったのではないかとの憶測が流れている。実際のところは不明であるが、ちょっとしたアイデアとその実現速度が問われるWebビジネスでは人材確保は重要なポイントである為、今後も人材獲得を狙った買収は増加する事も考えられる。

Google CEOがAppleの社外取締役を辞任

2006年8月よりAppleの社外取締役であったGoogle CEOのEric SchmidtがAppleを辞任。Googleが進めてきたAndroid, Chrome等のOS・Browser、及び携帯電話の戦略でも両社の競合性が強まってきた事が背景となる。以前の両社は違うアプローチでUser Experienceの向上を目指していたが、最近では重なる領域が拡大してきておりFTC(米国連邦取引委員会)は両社の取締役を重複する事は独占禁止法に触れるのではないかと調査を開始していた。今回の辞任はFTCの調査から逃れる事だけでなく、今後両社はHead to Headの競合として争っていく事を公に宣言したと見る事が出来る。一方FTCは今回の発表後も調査を継続しており、今後どのような結論を出すかが注目されている。又Eric Schmidt以外にもApple, Google両社の社外取締役を兼任しているArthur Levinsonの去就も注目されている。Arthur Levinsonは今年の4月までバイオテクノロジ-の研究を中心とするGenentech社のCEOでありGoogle, Appleとは競合関係ではない。但し競合する両社の情報入手可能な状態で経営に関わる事をどのように判断するか、今後の動きが注目される。

Google Apps Scriptの公開

Googleはこの5月からパイロットとして提供してきたGoogle Apps Scriptを企業ユ-ザ向けに正式公開。これによりユ-ザがGoogle calendar, Gmail, Google spreadsheetを用途に合わせてカスタマイズし、企業内で必要なアプリケーションの作成が出来るようになる。カスタマイズにはGoogle spreadsheetのメニュ-からScript Editorを選択し、Javascriptで記述する事が必要となる。その為誰でも簡単にカスタマイズアプリケ-ションを作る事にはならないが、あくまでも企業ユ-ザを対象にIT部門等が企業内アプリケ-ションを作成する事が前提となっている。Googleは利用方法のサンプルとして出張精算のアプリケ-ションをデモ。そこでは出張後に入力する経費項目・ワ-クフロ-設定・承認/処理する人のe-mailアドレス・承認後の出金処理までのプロセス設定とメニュ-作成等を行うやり方が提示されている。又外国出張時は為替の外部web siteと繋ぐ事によりリアルタイムで外貨を自国通貨に変換する事等も可能となっている。これによりユ-ザは出張後に出張経費の費目・金額等を入力すると自動的に外貨計算から出金までのワ-クフロ-が流れる事となる。出張精算アプリケ-ションはOracle等のERPやLotus Notes等のグル-プウエア等から構築される事が大企業では多く見られる。そこにGoogleはweb service連携の強みを活かし、各種Web applicationとの繋ぎや、(GoogleのCloud computing platform) Google App Engineで利用されるアプリケ-ションとを統合する事により企業内のエンタープライズ用途の採用・拡大を狙っている。今後Google Apps Scriptが進化していくと、e-mail, calendar, 検索, ワ-クフロ-等企業で必要なアプリケ-ション全てがGoogleで対応可能となり、Googleの競合がYahoo, BingからMicrosoft, IBM, Oracle等へと変わっていく事も現実化していく事となる。一方Salesforce.comもGoogleとは少し違うアプロ-チで同じ方向に進んでおり、今年の6月に開始したForce.com free editionではユ-ザが無料で出張清算等のアプリケ-ション作成が可能となっている。これにはワ-クフロ-対応が標準で入っており、出張清算以外でも企業内で必要となる承認プロセスを含む各種アプリケ-ションの構築・運営・利用が可能となっている。この両社の動きは今後アプリケ-ションの構築や対価に対して市場の考え方を大きく変える可能性もあるので、今後注目していきたい。

2009年9月12日土曜日

Microsoftの無償Office webが意味する事

Microsoftは2010年5-6月に発売予定のOffice 2010にあわせ、無料でWord, Excel等が利用出来るようになるサ-ビスOffice Web Appsをラウンチする事を発表。Microsoftにとっては2009年度で約$20B(約2兆円)と言われているMS Officeビジネスは重要な収入源であり、且つ現在もOffice suite市場で80%以上のシェアを獲得出来ている中でのweb無償化は大きなリスクでもある。但しその背景にはGoogleの無償Office suite Google Docsの存在と共に、Microsoftのビジネス構造の変革期に来ているとの見方がされている。 Google Docsは着実に企業利用ユ-ザを伸ばし、現在世界中で175万社にまで拡大。その背景にはGoogle製ブラウザ-Chrome、携帯電話用OS Androidのサポ-トにより利用性が向上した事が指摘されている。Androidは携帯端末だけでなくネットブック等の小型ラップトップでも採用が進んでおり、ユ-ザも軽量小型化から携帯端末に近い感覚での利用が増加。そのような状況の中Office suiteも業務用ドキュメント作成ソフトと言うだけでなく、何時でも・何処でも・どんなデバイスでも如何に速く・使いやすく利用出来るかと言う点が重要になってきている。そしてドキュメント作成時に必要な情報収集はネットで行われる為、検索エンジンとの統合も重要となり、結果的にOS, Search, Office suiteがインタ-ネット環境上で融合する事が求められる時代になってきていると見る事が出来る。このような背景の中、
オンライン広告ビジネスの採用等により無償でOffice suiteを提供していく事はMicrosoftにとっても必要な選択肢となり、”iPhoneを使うとGoogleは無料でプレゼン資料が見える”と考えるユ-ザの取り込みを真剣に考えた結果と見る事が出来る。
上記を考えると今後一段と”Android+ Chrome+ Google Search+ Google Docs”対”Windows+ Internet Explorer+ Bing+ MS Office”の戦いは激しくなり、ユ-ザにとっては使い易い・便利なサ-ビスが増加する事が期待出来る。因みにMicrosoftはOffice Web Appsの無償利用にはWindows Live Online Serviceアカウントからでしか入れない方針を発表。これはOfficeの利用だけでなくWindows Liveが提供するストレ-ジ・ブログ・e-mail等の各種サ-ビスへとユ-ザの利用拡大を狙っていると考えられている。そして各種サ-ビスを利用する中で検索のBingや広告プログラムから売上にも繋がるビジネスの構築を計画。一方Officeを採用している企業ではセキュリティ-重視からSaaSモデルを敬遠する可能性もある為、MicrosoftはWeb Office Appsのハイブリッドモデルを準備。企業はMS Officeソフトを購入し自社にサ-バを構築すると、社員はOffice Web Appsのインタ-フェ-スから社内サ-バにアクセスして利用する事が可能となる。その結果企業にとってはセキュリティ-を保持したままWeb U/Iの利用によりアップグレ-ド等の負荷が軽減される事となる。尚、MicrosoftはOffice Web AppsではGoogleのChromeをサポ-トしない事をこっそり発表しており、今後も面白い戦いが続くと考えられる。

Cloudベ-スのID管理サ-ビス普及の兆し

SaaSを初めとしたWeb serviceの利用が拡大する中、ユーザにとってはログインする為のUsername, Passwordが増加する事が大きな負担となってきている。シングルサインオンを可能とする業界標準のOpenID等を利用するユーザも増加してきているが、CloudベースでID管理サービスを利用し各サービスのシングルサインオンを実現しているユーザが増加。ID Analytics, Privo, Conformity, Symplified, Ping Idenitity等が注目されており、2010年にはこれらのユーザが大幅に増加し4人に1人はユーザになるとの予測も出ている。今後大手企業の参入も含めシングルサインオンでユーザにとっては便利差が増す事になる。

SaaS拡大の鍵になり得るOnline payment

eBayの子会社でOnline決裁サ-ビスを提供するPayPalはOnline paymentを各種サ-ビスに統合する為のインタ-フェ-スAdaptive Payments Serviceを7月に発表。これによりSaaS業者はPayPalが提供する外国通貨(世界19の通貨をサポ-ト)での決裁から複数宛送金の単一処理、マイクロペイメント(百円以下のような小額決裁)等の機能を自社サ-ビスに容易に統合可能となる。 PayPalはeCommerce, SaaS普及と共に拡大してきたOnline payment市場で7,540万ユ-ザ獲得まで成長し、現在も20%の成長率を保っている。そのPayPalへの対抗としてAmazonはAmazon Flexible Paymentサ-ビスを今年の2月にリリ-ス。自社eCommerceでの利用だけでなく、Amazonのクラウドコンピュ-ティングAmazon Web Serviceでの利用も促進する為にAPIを提供。今回のPayPal発表のAPIはAmazonとほぼ同等になっており、今後eBay, Amazonが激しく争っていく事になると見られている。今回のPayPalの発表を受けMicrosoftは自社クラウドコンピュ-ティングのAzureでPayPal Adaptive Paymentをサポ-トする事を発表。これによりAzureを使ってSaaS等のサ-ビスを提供する企業はPayPalが持つフレキシブルな決裁が可能となる。又同様にAmazon Web Serviceを利用する企業もAmazonの決裁サ-ビス利用が可能となる為、SaaS/eCommerce業者にとっては容易に決済機能を取り込む事が可能となる。これにより今回のPayPalの発表はAmazonのサ-ビスと共に今後のSaaS普及にとって重要な役割りを占めると考えられ、今後一段と多くのSaaSサ-ビスが市場で展開されてくる事に貢献する事が考えられている。
ちなみにeBayは第2四半期が売上げ$2.1Bで前年度比-4.5%、利益は$327Mで前年度比-29%となった事を発表。オ-クション/eCommerceが-14%となったのに対しPayPal等のオンライン決裁は+11%となる。現時点でのオンライン決裁事業はオ-クションの約半分であるが、将来的にはオンライン決裁事業がオ-クションを上回る事になると見られている。