2010年8月22日日曜日

各企業のBrowser戦略

Dellはセキュリティ-を強化したブラウザ-Dell KACE Secure Browserをリリ-ス。このブラウザ-は仮想化環境でFirefoxを動かす為、ブラウザ-自体がコンピュ-タやOSと切り離されて動き、マルウエア等の攻撃を受けたとしてもコンピュ-タが被害を受けないように構築されている。また、ブラックリスト(怪しいサイト)・ホワイトリスト(安全なサイト)を参照する為、危険なアプリケ-ションの利用やサイト侵入を防ぐ事が出来る。Dellは、今後このKACE Secure BrowserをDellのパソコンに標準装備する事を計画。又Dellユ-ザ以外にも無償ダウンロ-ドを提供。ちなみに、このブラウザ-は買収したKACE社の技術を利用した為、ブラウザ-名称にもKACEを残す事となる。


一方IBMは社内PCの標準ブラウザ-をFirefoxに指定し、全社員(グロ-バルに約40万人)に利用を通達。今迄のデフォルトブラウザ-はMS Internet Explorerであったが、今後社員に提供されるPCはFirefoxがデフォルトでインスト-ルされ、現在Chrome, IE等のブラウザ-を利用している社員は、Firefoxに変更する事を計画している。背景としてFirefoxがOpen sourceであり、各種標準への対応が進んでいる事・セキィリティ-が高く常にコミュニティ-全体でセキュリティ-強化を進めている事・カスタマイズが容易な事・開発が特定の一社でなくコミュニティ-全体が責任を持っている事等がIBMの戦略に合っていると発表。自社のBrowserを持たないIBMにとっては、MicrosoftのIE, GoogleのChrome, AppleのSafari等、ある特定の企業の戦略に左右される事を恐れているとの見方がされている。

企業にとっては、セキュリティ-強化と共に、全てのブラウザ-(IE, Chrome, Safari, Firefox, etc.)をサポ-ト・動作保障を行なうのは大きな負担となってきており、今後DellやIBMのようにブラウザ-を特定する企業が増加する事が考えられる。

Facebookのプレゼント戦略

Facebookはゲ-ム・カ-ド・アイコン等をプレゼント出来るFacebook Gift Shopの閉鎖を発表。但し既にプレゼントを受取りFacebookのペ-ジに表示されているユ-ザには今後も継続した表示・サ-ビス利用を提供。元々このサ-ビスはオンラインコンテンツだけでなく、実際の商品のプレゼントへと拡大させる事が計画されていたが、実現する事無く閉鎖となる。同じタイミングでAmazonがFacebookユ-ザのプロファイルから各種プレゼントを提案するサ-ビスを開始した事が発表される。このサ-ビスには、AmazonとFacebookの接続・承認を行うオプトイン方式が採用されており、ユ-ザの合意が必要となっている。従って、自分の知らない間に勝手にAmazonがプレゼントの提案を始める事はない。今回のAmazonの発表はFacebookが自社でギフトショップを構築するよりも、専門業者であるAmazonと手を組んだ方が、より良い選択であると判断したと推測される。これはWebサ-ビスの利点を有効に利用しており、今後も同様の連携が各社から見られる事が予測される

AmazonとIBMがCloud champion

ITコンサルティングのBTC Logicはクラウドサ-ビス企業のランキングを行い、AmazonとIBMがチャンピオンになったと発表。このランキングはクラウドサ-ビスをCloud Foundation, Infrastructure, Network service, Platform, Application, Security, Managementの7カテゴリ-で評価を行い、そのト-タルで全体のランキングを決定。AmazonとIBMは共に7カテゴリ-のうち4カテゴリ-でトップ5にランクインし、チャンピオンのランクを取得。その次のランクにはMicrosoft, Google, RedHat, Salesforce.com, Symantec, VMWare, Citrix, EMC, Oracle, Level3, Ciscoが入り、Cloud Heavyweightと格付けされる。その下はAT&T, Aylus Network, Rackspace, SAP, Sonoa, Raleo, Terremarkがランクされ、Cloud contendersとなっている。この上位20社に入らない企業は戦略等の見直しが必要と位置づけており、HP, CSC, Savvis, AT&T, Verizon等がリスト化されている。ちなみに各カテゴリ-の1位は次の通りとなる。Infrastructure: Amazon, Foundation: VMWare, Network service: Level3, Platform: Amazon, Application (Company-wide): Salesforce.com, Application (Other): SAS, Security: EMC, Management: IBM  (http://www.btclogic.com/documents/BTCLogic_TopTen_Q22010.pdf)

MicrosoftのWP7戦略

MicrosoftはWindows Mobileで苦戦するスマ-トフォン市場でWP7(Windows Phone 7)により巻き返し、iPhone, Androidと対抗する事を計画。WP7はPC(Windows), 電話(WP7), ゲ-ム(XBox), 音楽プレイヤ-(Zune)等をWindows Live(Microsoftが提供するWebサ-ビス)で繋ぐ事により、ユ-ザはどの端末でもe-mail, calendar, 写真, 検索(Bing)にアクセス出来るようになる。又、クラウドに置かれるオフィスドキュメントを各デバイスで編集したり、XBoxのゲ-ムをWP7電話でプレイしたり、MP3をWP7で購入するとZuneで聞く事が出来るようになる。Microsoftは7月にLGとSamsungが開発しているWP7の試作機を数千台世界中の開発者に配布したと言われており、ソフトハウスに対し年末発売に向けた準備を促していると見られている。又HTC, Dell等も携帯電話端末の開発を進めており、今後iPhone, Androidフォンと競合していく事となる。 Microsoftの各種異なるデバイスをクラウドで繋ぐ戦略は、大きな将来性が感じられるが、音楽プレイヤ-はZune, ゲ-ムはXbox, 電話はWP7等とMicrosoft製品に限定している点が市場を狭めているとの見方もされている。今後、Microsoft製品だけでなく、音楽プレイヤ-はiPod, ゲ-ムはPlayStation・Wii、電話はiPhone, Android等も全てクラウドで繋ぐようなサ-ビスが出てくると、市場での大きな反応が出る事が予測される。