2009年10月25日日曜日

連続して発表された大型買収案件
DellはITアウトソ-スビジネスのPerot systemsを$3.9Bで買収。Perot systemsは以前大統領候補にもなり嘗てHPが買収したEDSの創設者でもあるRoss Perotが1988年に設立。社員23,000人、売上$2.8BでHealthcare, Government等を中心に25ヶ国にITサ-ビスを展開。昨年はFortune誌のIT service 分野でのMost Admired Companies in Americaの賞を獲得している。Dellはハ-ドウエアビジネス中心できたが、IBMのPricewaterhouse・HPのEDS・OracleのSun買収等が進む中サ-ビスとハ-ドを統合した販売に迫られてきた事が背景となっている。Dellは今後コンサルティングを含むソル-ション販売を強化する事となるが、Perot systemsのコンサルティングはIBM, HPに比べて規模が小さい事からその点を懸念する声も上がっている。
一方AdobeはWebの分析を行うOmnitureを$1.8Bで買収。Webのデザイン・開発・ドキュメント作成を行う主力商品Flash, Dreamweaver, Acrobatで作成されたコンテンツに解析・分析機能を統合する事により、Web開発者に各種情報を提供する事となる。Web解析はWebtrends, Coremetrics等も展開しているがOmnitureのSiteCatalystが業界標準的な存在になっており、現在の$0.6Bから2011年度には$2Bへ拡大する市場でAdobeが有利な立場に立つことになると考えられている。
又Xeroxは$6.4BでBPO大手のAffiliated Computer System (ACS)社を買収。ACSは100ヶ国以上でtelecommunication, retail, finance, healthcare, education, transportationと幅広い業界でサ-ビスを提供しており、World’s Top Diversified(多角) BPO企業と言われている。その中でもガバメントに強く、米国だけでも現在1,700以上の国・州・郡・その他の地方機関で複数年契約のサ-ビスを提供。Xeroxはこの買収の条件としてACSの負債$2Bを肩代わりし、ACSのクラスB株主(創業者・経営者等に与えられる議決権力の高い株主)に$300Mの転換優先株を発行。この条件や両社のシナジ-で疑問も持たれる事等から発表後Xeroxの株価は下落する事となる。但しXeroxはこの買収により2008年度には$3.5Bであったサ-ビス売上が来年には$10Bまで拡大する点、及び総売上高$22Bのうち$17BがRecurring(継続更新ビジネス)売上になる点を買収の目的としておりサ-ビス企業への変革となる声明を発表。
上記3社の買収は共にサ-ビスビジネスの強化と共に、今まで以上にト-タルのソル-ションを提供していく事で共通点が見られると考える事が出来る。特にAdobe, Xeroxは共に今回の買収をGame changingと言う言葉で表現。今後各社がどう変化していくか、市場での評価がどうなるかが注目される。

米国政府がCloud computing計画を発表
米国政府CIOのVivek Kundraは政府のITコスト削減と環境対応を狙うCloud computing計画を発表。現在米国政府には年間$76BのIT予算があるが今迄各省庁が独自にデ-タセンタ-構築を行った為、ITインフラだけで$19Bを超える程となっている。その結果Department of Homeland Security(国土安全保障省)だけでも23のデ-タセンタ-を保有する事となり、政府が消費する電力も2000年から2006年の6年間で2倍になる等、コストと環境の両面で早急な見直しが必要な状況となっている。そこで米国政府は現在一般市場に提供されているCloud computingサ-ビスでそのまま利用出来る物は積極的に採用する事を決定し各機関での利用を促す事になる。そこでUS General Service AdministrationはApps.govのサイトを開設しでGoogleやSalesforce.comのサ-ビス提供を開始。(IBM, HP, Xerox等からは何のサ-ビスも提供されておらず、最も多いのはsalesforce.com及びforce.comで開発されたアプリケ-ション) 将来的にはストレ-ジ・Webホスティング・Virtual Machine等へと拡大していく計画となっている。但し現在の文化を如何に変更させる事が出来るか、セキュリティ-の不安をどう払拭させるが課題と言われている。
一方Googleは政府のCloud computing計画を絶好のビジネスチャンスと捉え政府向けサ-ビスを強化。2010年にはGoogle Appsで米国政府セキュリティ-規格Federal Information Security Management Act (FISMA)の認証取得を目指しており、幅広くGoogleアプリケ-ションが政府で利用される事を計画。又その際アプリケ-ションはGoogleの米国内デ-タセンタ-にホスティングし、米国政府指定の規格をクリアする人材による運営と、デ-タが米国から流出しない技術の利用を進めている。

米国政府の職場改善向上取組み
US Office of Personnel Management(人事関連を取扱う連邦政府機関)は連邦政府の190万人職員に対し、テレコミュ-ティング推進と職場環境改善の為にGoogleとFacebookを参考にする事を発表。これは連邦政府自体が米国の職場環境モデルケ-スとなる事を目指しており、その為現在社員満足度が高いGoogle, Facebookを選択。両社はお洒落なオフィス家具に明るい色の壁や幅広い種類の写真を掛ける等の工夫がされているが、その背景や社員の健康管理等に付いて参考にしていく事となる。又テレコミュ-タ-(在宅勤務)は生産性の向上に繋がるとして、現在の10万人を今後ニ-ズに合わせて増加させる事を検討。現在まで在宅勤務による情報漏洩は一件も無かったが、リスクは問われる為今後一段とセキュリティ-を高め、安心出来るテレコミュ-ティング環境を構築する事を宣言。今回の発表は政府自体がモデルケ-スを目指し、積極的な在宅勤務への取組みや、オフィス環境のモデルとしてGoogle, Facebookを選択する事はアメリカのオ-プン性を感じる事が出来る。今後この取組みが米国政府をどう変化させていくのか注目していきたい。